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I am praying. 4(ナル麻衣)

2007.05.24 Thursday 20:42
4話目ですよ〜



〈あの部屋〉から〈あの場所〉までは方向にして言えばほぼ一直線だ。
林を駆け抜ければ着くだろう。
(麻衣……)

何故、もっと早く気付かなかったんだ


依頼人が書斎にいた理由
〈あの部屋〉
『あ、き、す、き』
行方不明の旦那
そして――


(これらのことと、心霊現象が組み合わされば……)
全て、辻褄が合う


「―――こっちを見て」
ナルの思考は、突然乱入してきた声に消された。

今朝、麻衣と話をしていたあの使用人、綾。
そして、そいつと唇を重ねてるのは――

「――麻衣!!」


「………ナ、ル……?」
麻衣の瞳からはとめどない涙が溢れていた。
そして、気を失ったように瞳を閉じて綾の胸にもたれかかった。
「………君が、ナル君?」
ナルは綾を、今朝以上の瞳で睨む。だが依然として、綾は麻衣を放そうとはしない。
「……そうか、君はもう分かったんだね。この事件の謎が」
綾が笑う。
その笑みは、決して麻衣に向けていたものとは大きく違うものだった。
怪しく、黒い瞳。
「麻衣から離れろ」
静かに告げるが、その声に憤怒が混じっているのは明らかだ。
「………良いですよ」
綾は麻衣の身体を草むらに置いた。
ナルは麻衣に駆け寄る。麻衣の顔が、異様なまでに白くなっている。
「でも、もう遅い。麻衣は、私のものです」
「!待て!!」
一瞬力を使おうとしたが、麻衣やリンたちに禁止されていることを思い出し、躊躇している間に綾はその場から走り去ってしまった。



――お願い
「……誰?」
どこからか、声が聞こえる。女の人の声だ。
そして、黒い影から女性が現れた。
(綺麗な人)
――あの人を、止めなきゃ
「……あの人?」
――このままだと、あの子もあなたも死んでしまう。お願い、協力して
「どうやって?」
――あなたの身体を、私に貸して。私があの人に教えてあげなくちゃならないの
「何を?」


私はここで待ってるって……





「――わかった」
「麻衣?」
(……あれ)
女の人の声じゃない
聞き慣れた低いテノール。
麻衣は目を開いた。
「麻衣!?大丈夫か!?」
滝川がこちらを覗き込む。
「……ぅっわぁ!?ぼーさん!!」
勢いよく起き上がると、僅かに目眩がした。
「大丈夫ですの!?麻衣!」
「え、うん……あれ?」
なんで寝てんだ、あたし
「……えーっとぉ」
見渡すと自分はベッドに横になっていて、部屋にはナルを始めとするメンバーと、玉枝さんがいた。
「麻衣」
「ナル、一体何が……?」
「麻衣、お前は綾という奴はここの使用人だと言ったな」
「へ?うん……あぁ!?」
(そういえば、あれからあたしどうしたの!?)
麻衣はナルのシャツの袖を掴んだ。
「綾さんは!!?」
「落ち着け、麻衣……あの使用人のこと、玉枝さんに訊いてみろ」
「え?」
最初はその意味が分からなかった。
ナルにそれを目で訴えるが、彼は何も答えない。
仕方なく、言う通りに訊いてみる。
「あの、玉枝さん。綾さん、知りませんか?」
「綾?」
玉枝は眉を寄せ、2、3秒考え込む。
「……この屋敷の女中の早瀬亜也のことかい?」
「いえ、男の方です。綾浩輝さんっていう方です」
「……男?」
玉枝は一瞬我が耳を疑った。
「おま…案内してもらった使用人って男だったのか!?女かと思ってたぞ!!」
「私も滝川さんと同じです。綾さんって名前ではなく名字でしたの?」
2人が口々に言う。
玉枝だけは、信じられないというような顔をしていた。

「……馬鹿言うんじゃない。この屋敷に男はいない」
「え!?」
麻衣の瞳に困惑の色が漂った。
「薫様のお父様の遺言に『この屋敷に男を雇うな』とあったんだ……男はいないよ」

嘘、だ


「お、おいおい、どーゆことだよ……」
麻衣は放心状態になり、ナルの袖を掴んでいた手から力が抜けて下へ落ちる。
「麻衣、よく聞け。お前が会っていたのは、死人だ。それも〈綾浩輝〉が憑衣した依頼人の〈行方不明の旦那〉の死体だ」
「え!?だって……そんなっ!!」
「これだけじゃない。お前が夢で見た〈あの場所〉があの湖で、〈あの部屋〉は書斎のことだ」
「…どうゆう…こと?」
麻衣は未だに信じられないという表情だ。
うっすら涙と汗さえにじんでいる。
「この屋敷は林で囲まれている。別館もないこの屋敷からは、最北にあるあの書斎からだけ、〈あの場所〉……つまり、お前がいた湖が見えるんだ」
ナルは続ける。
「昔、この屋敷の使用人だった綾浩輝は、湖を恋人と落ち合う場にしていたんだ。そして書斎から相手が来ているか、互いに確認し合っていた」
「なるほど……それであの書斎には強い思念が残っていたって訳か」
滝川が納得をする。
「じゃあ、なんで薫さんの旦那の身体を使っているの!?綾さんが亡くなったのは、何十年も前なんでしょう!?」
麻衣はナルにくいかかった。
事実を認められないのだ。
「――一つ、言えなかったことがありました」
叫ぶ麻衣を止めたのは、玉枝の声だった。
「……何故、この屋敷が男性を雇わなくなったか、という理由ですよね?」
ナル口ぶりは、まるで全て分かりきっている、というかのようだった。
「そう……葵様の恋人の使用人が自殺してから、この屋敷にいる男が次々と行方不明になる事件が多発したのさ」
ナル以外の全てのその場にいた人物が、顔を硬直させた。
「そして行方不明になって数年した時、その行方不明になった男達を度々目撃したという女中が出てきたんだ。行方不明になってから何年もしてるのに、容姿は全く変わってない……そして、とうとうソレは起こったんだ」
「キスをされて死んでいく、ですね」
「あぁ……そこで、とうとうこの屋敷には男の姿がなくなった。元々男の数はそれほどいなかったからねぇ……」
ナルは再び視線を麻衣に戻す。
「これで全ての辻褄が合う。霊ならある程度身を隠せるから、普段は他人に見つかることはない。そして綾浩輝は、昔から人を拐っては殺し、その人に憑衣していた。依頼人が書斎へ行ったのも、行方不明になった旦那の姿を目撃して追いかけてしまった……ということだろう」
それを聞いた麻衣はハッとする。
先日、お茶を運ぶのを手伝っていた時、あと少しでベースというところで様子がおかしくなっていた。
(あの時…リンさんの結界に反応して……?)



「………そっか、そうなんだ」
麻衣はとうとう諦めたかのように肩の力を抜いた。
こうなってしまえば、納得せざるを得ない。

綾さんは、私を連れていくつもりなんだ

冷えた唇の感触が、未だに残っている。


(――あなたも死んでしまう。協力して)
不意に、夢の中の言葉を思い出し、顔を上げる。
「―――」
もしかして、あの人……

ナルが、腰かけていた麻衣のベッドから立ち上がって言った。
「今回は麻衣も危ない。時間も少ないことから、綾浩輝を見つけ次第除霊を――」
「待って!!!」
麻衣が、続く言葉を遮るように叫んだ。
「お願い!!あたしに浄霊させて!!」
「馬鹿を言うな。今回の浄霊は無理だ。死にたいのか?」
「違う!さっき、夢の中で葵さんに会ったの!!」
「なんだって?葵様に?」
麻衣の能力を知らない玉枝には、驚きの言葉だろう。
「葵さんがあたしに協力して欲しいって言ってたの!!」
「協力?……まさか、彼女を憑衣させると?」
ナルが睨むと、麻衣は怯まずに頷く。
「でも麻衣、薫さんはもう後1日しかないのですよ?それに麻衣だって……」
麻衣が意識を失っている間に日付は変わった。
あと、1日。
自分にもタイムリミットが出来てしまった。
麻衣は苦笑いをした。
「……分かってる。失敗出来ないって。でも、でもね。思うの」
麻衣は長い睫毛を伏せ、優しく笑った。
「綾さんは、葵さんを凄く愛していたから。彼女なら、綾さんを救えると思う」

だって、何年も想い続けた、たった一人の想い人なんだもん



「……分かった、お前の言う通りにしろ」
「ナル!?」
それに真っ先に抗議したのはリンだった。
「いくら何でも危険があります!」
「そうだぜ、麻衣。ここは俺に任せて……」
「もし浄霊出来ないとなれば、僕がその場で除霊します」
ナルが滝川の言葉を遮った。
「ナル……?」
麻衣は不安気にナルを見上げた。
力を使う、ということだろう


「早速、憑衣できるか?麻衣」
ナルも麻衣の方を見た。

――信用してくれてるのかな


「……うん!頑張る!!」




葵さん――?
「……はい」
良かった、上手く出来たみたいだね
「あなたは……さっきの子?」
そうです。あなたに私の身体を貸します。二人で、綾さんを光の方へ導いてあげましょう
「……えぇ、彼を……浩輝を、これ以上苦しめないためにも。あなたの身体、お借りしますね」



麻衣はゆっくり瞼を開けた。

「――どうやら、呼べたようだな」
腕を組んでこちらを見つめるナルが言った。
「……うん、そうみたい」
麻衣はナルに向かってにっこり微笑む。
「さて…残りは幽霊さんだけか…」
滝川が溜め息をつく。
「綾さんなら、多分、あそこだよ」
「……だろうな」

きっと、私を待ってる――





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2016.04.11 Monday 20:42
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コメント

こんばんは!惇さん!

のっひゃ〜!!
・・・ナル、頭切れるぅぅ

I am praying.1の最初から読み直し。
なるほどぉ・・・改めて、いろいろな伏線が・・
感動・・・。

どうなっちゃうのかしら
どうするのかしら
この先、どんな展開が??
綾さんと葵さん・・出会うのかしら・・

続きが気になるぅぅぅ・・・

ああ でも切ない予感・・
そして嫉妬しちゃうナルがカワイイ!!

なんかブツブツ独り言みたいになっちゃってますが・・・

次作品も期待w!してまース!
| おとしん | 2007/05/24 11:14 PM |
こんばんはおとしんさん!

私も書いてた途中、色々文を変えました(笑)
もうちょい表現をわかりやすくというか、あからさまというか……
ナルはもう嫉妬するのにピッタリなキャラでしてw(ナルシストのナルちゃんですから


さて、後1話で完結です
明日夜更新予定です
ラストが一番ナル麻衣っぽい……かな?


コメントありがとうございました!
| 惇 | 2007/05/24 11:33 PM |
おはようございます!惇さん!

キャ〜!今日の夜いよいよ完結なんですね〜!!!楽しみ〜!!
ナル麻衣 も楽しみ〜!!

憑依されてる間は麻衣ちゃんの意識はあるのかしら・・・?いくら憑依されてるとはいっても本体は麻衣ちゃんのもの・・・ナルは心配ですね〜!!

楽しみにしてマース
| おとしん | 2007/05/25 5:16 AM |
おはようございますおとしんさん!

今日は5話とあとがきをうp予定で〜す
いよいよ完結……初めての長編でしたが、なんとかまとまりそうです

憑衣されてる時は意識ないんでしょうけど……どうなんでしょうね(おいおいおい
とりあえず、次回で憑衣された姿が出てきますよ(笑)

コメントありがとうございました!
| 惇 | 2007/05/25 6:04 AM |

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