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I am praying.5 (ナル麻衣完結)

2007.05.25 Friday 21:14
最終話です



深夜。幽霊を呼ぶには丁度良い時間だろう。
メンバーに玉枝を加えた6人が湖に来ていた。
「この屋敷の近くにこんな場所があったとは…」
長年遣えていた玉枝も、この場所は知らなかったようだ。
二人が落ち合っていたことは知っていたようだが、場所までは知らなかったようだ。

誰も知らない場所で、二人だけで逢っていた。

麻衣は皆より数歩、前に立った。
「……綾さん」
麻衣が呼びかけると、うっすら白い煙のようなものが現れた。
やがてそれは、くっきりと人の形をする。
「綾さん…なんだね」
もう誰かに憑衣しているわけではないのだろう。
執事の服装はあまり変わっていないが、顔は明らかに違う。憑衣していたころよりも、もっと若い人の姿だ。
「……麻衣」
低い声が返ってきた。
「教えて、綾さん。なんで女の人を殺していったの?」
「…苦しかったんです。どうしても、葵お嬢様への想いを貫きたかったんです」
麻衣にだって、分かるでしょう?
「…うん、分かるよ。でも、殺す理由にはならない」
「……誰かを好きになろうとしたんです。葵お嬢様の代わりになる、誰かを。でも駄目でした。女性を殺せば、その方と一緒に逝けると思ったんですが…でも、誰も私の気持ちを分かって下さる方はいませんでした。だから、ずっと独りだったんです……」
麻衣は黙って聞いた。
「葵お嬢様が亡くなってから、私も自殺しました。自分が死ねば、葵お嬢様に逢えると思ったんです。でも、逢えるどころか彼女の姿は見つからなかった。どんなに捜しても……そこで私は初めて、孤独だということに気付いたんです」
「……想いが強ければ強い程、霊はこの世に居憑いてしまうものですわ」
真砂子が言う。
「でも、そんな時麻衣に出会ったんです。あなたは僕の気持ちが分かるでしょう?」
大切な人を、先に亡くした気持ちが――
「麻衣は言ったじゃないですか、亡くなった彼に逢いたいと」
それを聞いたナルの肩がピクリと動いた。
「――言ったよ、でも……」
「でも…何?君だって、死ねば彼に逢えるかもしれないん――」
「逢えるわけないじゃない」

麻衣は急に口調を強めた。静かに振る舞っているが、その声音は怒りが混じっている。
その場にいる誰もが、驚きに包まれた。

「……逢えるわけないじゃない。彼はもういないの。一緒には居られないの!!」
麻衣の瞳から、涙が溢れ落ちた。
「取り残された人は、その人を想って生きていくしかないの!」

父がいて、母がいた
それを亡くした時、立ち直れない程悲しかった

初恋をした
でも、その人が鬼籍の人だって知った時は涙が止まらなかった

でも、失うばかりではなかった
彼らが亡くなった時、確かに自分は[大切なもの]を手に入れたはずだ

だって、今こうして過ごして
幸せを感じるのだから


「……いない人にはもう逢えない。それを一番分かっているのは綾さん自身でしょう!?」
「――――」
綾の瞳が固まる。


それでも、私はあなたが――

「……浩輝」
その時、綾の耳に聞き慣れた声が入ってきた。
だが他のメンバーには聞き慣れない声だった。

目の前で、泣きながら微笑む少女。
「……葵お嬢様?」

麻衣の面影に、葵の姿が重なった。
憑衣したのだ。
「ごめんなさい……ずっと、待っててくれたんでしょう?」
葵は浩輝にゆっくり歩み寄ると、腕を回して彼の身体を包み込んだ。
「……気付かなくって、本当にごめんなさい。あなたはいつも、私を待っててくれたのに、あの場所で」
目に浮かぶのは、懐かしいあの風景

書斎から、何度も姿を捜した
見つけた時は、胸が高鳴った


「最後に、伝えたかった…人達に、私は綾浩輝が好きって…」
『…あ………き……す……き』


「…葵…お嬢様……」
「……さぁ、もう逝こう?」
今度こそ、ずっと二人っきりだよ


「――綾さん」
次に声を聞いた時は、間違いなく麻衣のものだった。
麻衣は綾を抱き締めたまま、言う。
「私、祈っててあげるよ。あなたの想いが、100年経っても、ずうっと続きますようにって」
「――麻衣さん」
最後に、綾は麻衣の身体を抱き締め返した。

その瞬間、暗かった空に光が差し込む。
昇ってきた朝日が湖を照らし、水面が一斉に輝きだす。

「……綺麗ですわ」
真砂子が思わず声を漏らした。その場にいた誰もが、その光景に息を呑んだだろう。
「……バイバイ。プレゼントをありがとう」
麻衣が呟いた瞬間、腕の感触がなくなった。

光の射す方へ向かったんだ

どうか、愛しい人といつまでも幸せでありますように――









「……で、そのお嬢様は死ななかったわけ?」
オフィスのソファに腰掛けた綾子が訊いた。
オフィスには綾子、滝川、真砂子、安原が集まっていて、麻衣たちの話を聞いていた。(もちろんナルとリンは別室に篭っているが)
お茶を持ってきた麻衣が綾子の質問に答える。
「うん、薫さんは無事に容体回復したし、私もピンピンだしね!……ただ――」
急に麻衣の表情が曇った。




事件の後日、薫さんの旦那さんの遺体が見つかった
近々葬式も行われるらしい

遺体が発見された時、薫さんがどう思ったかは分からない
でも、どうか道を間違えないで欲しいと願う
綾浩輝さんのようにならないことを……




「今回は俺らの出番もなし……麻衣大活躍だったよ」
父親のカッコイイとこ、見せたかったなー、と滝川がぼやく。
「無茶をしないかとハラハラしたものですが」
真砂子も、麻衣のいれたお茶を飲みながら言った。

「……ありゃ、もうこんな時間?」
麻衣はオフィスの時計を見る。
「やっば、あたしまだ学校の宿題残ってるんだよねー。帰んなきゃ」
休んだ分を取り戻すのはなかなか難しい。
もう客だっていないし、お茶をいれたんだから、イレギュラー達を残しても帰っても問題はないだろう。
「お疲れさまー!皆まったね〜!!」
麻衣は元気よく手を振り、ドアを開いて出ていった。
滝川たちもつられて手を振り、それを見送る。



「……ん〜……」
麻衣が帰って30分ほど経った頃、何の前ぶれもなく滝川が唸った。
「何よ気持ち悪い。眉間に皺よせんのはナルだけで充分よ」
「松崎さんの言う通りですわ」
女性陣から厳しい批判を喰らう滝川。
「いや、な?…俺、何か大切なことを忘れている気がするんだよ」
「あらノリオ、それは僕への愛じゃないんですか?」
安原が語尾にハートマークを付けんばかりの口調で言い、滝川の隣に座り込んだ。
「馬鹿言え。お前にいく愛があったら麻衣に注いでる」
「そんなッ!ノリオに捨てられるなんて……オサムもノリオが死んだら幽霊になってあとを追いますわ!」
「……お前が言うとマジでシャレにならない」
そんなことを繰り返していると、何の前触れもなく所長室の扉が開いた。
中から出てきたのは勿論所長。
「ぃよ、ナルちゃん。どこかへお出かけかい?」
「えぇ、あなた達と違って忙しいもので」
それだけ告げるとナルもオフィスから出ていった。
「いや〜所長の毒舌は真夏でも涼しく感じますね」
そんな呑気なこと思えるのは安原だけだ、とその場にいた安原以外全員が思った。
「あの調子だともうオフィス帰ってきませんよね、所長」
「は?なんでだ?」
それを尋ねた途端、安原の笑みが変わった。
『越後屋』の笑みだ。

「いやだなぁ、皆さん。忘れてらっしゃるんですか?谷山さん、この間誕生日だったんでしょう?」
「「「あ!」」」
誰もが完全に忘れていた。
事件やなんやらで、何より麻衣自身の身が大変だったし、それ所ではなかったのだ。

「所長もちゃぁんと、谷山さんのことを愛してたんですねぇ」
オフィスで滝川たちが騒ぐ中、安原だけはのんびり微笑んでいた。






「……そろそろ暗くなって来ちゃったかな?」
麻衣が居るのは、墓地。
大好きな両親が眠る場所だ。
麻衣はその場に腰を降ろし、手を合わせる。
(お父さん、お母さん……あたしは、無事に18歳になりました)
結局、調査やなんやで皆に祝ってもらえなかったけどね
あ、でも綾さんには祝ってもらえたんだ
ちょっと寂しいけど、良い思い出、かな?

内心、苦笑いをした。



ザッザッ
誰もいないの墓地に、後ろから足音が聞こえた。
「?」
他に誰か来てるのかな、と麻衣は音のする方へ顔を向けた。
そこに立っていたのは、所長兼恋人。
「ナル……?」
何故、彼がここに?
ナルは麻衣を見つけた途端、駆け寄る。
よく見ると肩が上がるほど呼吸をしている。走ってきたのだろうか。


――あぁ、ダメ。涙が出そうになる

「ど、どうしたの……?」
麻衣は溢れる感情を無理に止めて口にした。
「……麻衣の家に行っても、いなかったから。だから、ここに来てるのかと思った」
平然とした素振りでナルは言う。

やめて
その言葉だけで、全て許せる気分になってしまう

「何か用だった?」
麻衣は無理に笑顔を作って言った。
「……誕生日」
言うなよ、馬鹿

「忘れててすまなかった」
「……んーん、別に良いの。気にしてないから」
だから謝らないで
泣きたくなっちゃう

「それにさっ、幽霊に祝ってもらえたなんて結構良い経験だと思わない!?人生で1度あるかないかだよ!?」
羨ましいだろ、と続けようとした言葉は彼の唇に消された。
触れるだけの、優しいキス

「………ナ、ナル?」
やっと離れて、彼の顔を見る。
ナルの両手は麻衣の両肩に置かれ、まっすぐ瞳を見てくる。
「……HappyBirthday Mai」

あぁ、言いやがって


「麻衣――」
「……っ」
麻衣の涙が頬を伝い、地面へ落ちた。
「ばっか……な、で……」
鳴咽が混じって、もう何を言ってるのか、自分でも分からない。
そんな麻衣をナルは優しく抱きとめた。
「もっ…ずっと…忘れられるかと……」
「あぁ、悪かった」
「ナルのばかッ!!アホッ!!」
この傍若無人の唯我独尊のワーカホリックのナルシスト!!


どんな暴言を吐いても、ナルはただ頷いて優しく頭を撫でてくれるだけだった





それから麻衣はナルの家に来ていた。
「そういえば麻衣」
「ん?」
キッチンでナルのためにお茶をいれていた麻衣は、声のした方へ顔を向けた。
そこには声の主、ナルがいた。
「ジーンに逢いたい、と言ったそうだな」
「……あぁ」
麻衣はナルの方から視線を戻す。
綾さんが皆の前で言ってしまったのだ
私がジーンに逢いたがっていたこと

あの笑顔を、まだ愛しく想う

「――ジーンはね、いいの」
「……?」
意外な言葉に、ナルは声を出すのを忘れた。
「今回のことであたしも気付いたから。……逢いたくないってわけじゃないんだけどね。ジーンは、いつも私の隣にいるの」
感じるの、彼を
いつも見守ってくれている姿を


「だから、逢えなくても良いの。私には分かってるから」
彼の存在を


「……そうか」
それに、ナルだって居てくれるんでしょ?
そう麻衣は無邪気に微笑む。

「――そうだな」
ナルが珍しく笑った。
「こう見えて、僕は結構嫉妬心が強い方なんだ」
「へ?」
いきなり話を変えられ、麻衣も一瞬混乱する。
後ろから抱きついてきたナルが、麻衣の耳元で呟いた。
「……幽霊に抱きつかれた分と、キスされた分。これからいくらでも取り返してやるさ――」




祈っててあげるよ
君たちの恋が、ずうっと、永遠に続きますように


そう言った兄の声が聞こえた気がした


END




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