HYDE

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いばらの涙(沖田と薫)

2011.05.07 Saturday 00:09
企画「いばらの涙」

沖VS薫です。
Butterfly's Sleepの続編にあたる話で、千鶴は登場しません。
Round and Roundのようにコメディの欠片もなく、かなりシリアスでダークです

沖田視点、薫視点、第三者視点と別れてますが…読みにくいかもです

これ実はいばらの涙にしようかSell my soulにしようかかなり迷ったんです^^;
魂売もかなりお気に入りの曲で沖+薫→千っぽくいけそうな歌詞なんですけど、いばらのが雰囲気的に良いかなみたいな…だって二人の戦いだし…
まぁ最終的ってか曲目決めた時点ではいばらの涙になったんですけどね…
20ではなんとこの曲順が前後っていうねww
っていうわけで、なんか最後に若干魂売の雰囲気も匂わせてみました
ほんのちょこおおおおおっとだけね!


※5月8日挿絵追加しました
流血表現有りなのでサムネにして貼っておきました


作詞作曲 HYDE







鉛色の空を見上げる。
その今にも落ちてきそうな重たい空は太陽の光を遮り、冷たい空気を吐いていた。
もう何日間歩き続けたのか分らない。
だが疲れを感じないのは、きっと羅刹になって体力が増したのと、その羅刹が苦手とする太陽の光がないからだろう。

立ち止まることはできない。
千鶴を見つけるまで。


『沖田さん。私、あなたがいなくなっても絶対泣きません。だから、沖田さんのほんの僅かなその未来を私に頂けませんか?』


数日前、千鶴は僕にそう言った。
でも、彼女がどんなに後悔したって、どんなに傷つけたって放さないと決めたのはこの僕自身だ。
彼女のおねだりはおねだりにもならないほど可愛らしいものだった。

彼女なりに強くなったことを自分に見せたかったのだろう。
その健気さが愛おしかった。


「…千鶴」

そう呟いて握りしめている右手を見る。
掴んでいるのは彼女の髪紐。

僕は千鶴を見つけるまで歩みを止めない。
たとえ、もう彼女が生きていなくとも。










「――来るのか」

ゆっくりと目を開く。
横には未だ眠ったままの妹の姿。
目が覚めたのは朝日が俺を起こしたからではない。
単なる睡眠欲が解消されたからなのだろうか。
それともあいつの気配が俺を目覚めさせたのか。


「くそっ…!どこまでも俺の邪魔をするつもりなのか――沖田総司」

脇に置いてある刀を取る。
立ち上がろうとする寸前のところでもう一度隣に横たわる千鶴を見た。

「俺がお前を守ってやるからな…」

髪の毛を一房手に取り、そっと口づける。

立ち上がると鞘から刀を抜きとり、鞘の方を地面に投げ捨てる。
髪の色が黒から白へと変わり、額には二つの角が生まれる。

(これが本当の鬼だ…沖田。羅刹という紛い者には掴むことのできない、至高の力)


「行ってくるよ千鶴…」






灰色の空は時刻さえも曖昧にさせて、そして二人は出会った。


「沖田総司…ここには誰も来れないと思っていた。でも、やっぱりお前だけは来ると思っていたよ」

薫は口端だけを上げるが、目には敵対と憎悪が入り混じった色がかかっている。
対して沖田は無表情だ。

「何勘違いしてるの?君に会いにきたわけじゃないんだけど」

あくまでもお互い冷静を保っているが、その場の空気はとても穏やかと言っていいものではない。

「分かっているさ…だが、この姿を見ればお前も分かるだろう?」

薫が両手を広げ、己の全身を晒す。
そこまでせずとも沖田は気づいていただろう。だが薫は敢えてそれをした。
よく見えるように。たくさん見えるように。
千鶴の血が付着した真っ赤な姿を。

「お前の逢いたがっていた千鶴はもういないよ」

口元に付いていた妹の返り血をぺろりと舌で拭う。
だがそれは乾いているようで、血の大半は拭われずそのまま付着していた。
しかし薫は満足そうに微笑んだ。

「お前の愛していた千鶴はいないんだよ…俺が、殺してしまったんだから」

沖田は黙って薫を見つめた。
無表情のまま。
いや、少しだけ憐れんでいるような、どこか悲しそうな目をしていた。

それを薫は千鶴が死んで悲しんでいるのだろうと思った。

「良いだろう。来いよ。沖田総司」


刃先を数歩先の沖田に向ける。
そこでようやく沖田が口を開いた。

「君を見ているとまるで僕を見ているようだよ…薫」

瞬間、薫の目が大きく見開かれた。
血を啜る為に人よりも長けた八重歯で己の唇を噛む。

「っだまれえええぇぇ!!」

叫びと同時に薫は沖田へと駆けた。
沖田も刀を抜き、鞘を地面へと投げ捨てた。
薫の刀を受け止めると沖田の髪が白へと変わり、瞳は血のごとく赤に染まる。
羅刹の姿だ。

「…たかが羅刹になったぐらいで、俺と似ているって?人間の頃から病弱だったお前が変若水を飲んだ程度でこの俺に勝るとでも?」

沖田の刀が薫の刀を横へと受け流す。
上背と力では沖田の方が上だが素早さでは薫が上だ。
薫も沖田の行動は読んでいたらしく、姿勢を低くして沖田の心臓を狙って突く。
その素早さに沖田は避けることが出来ず、刀で受け止めるばかりだった。

「なんだよ沖田。さっきから防いでばかりじゃないか!そんなので俺とお前が似てるって?笑わせてくれるな」

刀で来ると思っていた薫の攻撃だったが、予想に反して至近距離で蹴りを繰り出してきた。
腹を蹴られた沖田は後へと吹っ飛ばされる。
沖田はよろよろと起き上がり、血まじりの咳を吐いて口元を乱暴に拭った。

「お前らみたいに醜い人間がいたから俺は不幸の道を行かざるを得なかったんだ。進んでも進んでも、幸せにはほど遠い…荊の道を。この痛みがお前に分かってたまるか」

「…何を言ってるんだい。そんなことを言ってるんじゃないよ僕は」

荒い呼吸をしながら立ち上がり、余裕を見せるかのように笑う沖田。
その時、大粒の滴が空から落ちてきた。それは紛れもなく雨だった。

「あーあ…千鶴は君に殺されたんだよね。ここに来るまでに覚悟はしていたんだけど、やっぱりそうだと分かったら凄く辛い…。ほら、空だってこんなにも泣いているよ」

しだいに強くなる雨の粒を沖田が掌でいくつか掬った。

「ふん…とうとう気でも狂ったか」

「ふと思ったんだ…君と僕がもし逆の立場だったら、ってね。そうしたら鬼であった千鶴の気持ちも少しは分かってあげられたんじゃないかって」

「黙れ!お前に千鶴の何が分かる!…もっとも、千鶴は唯一の肉親である俺のことさえ忘れて呑気に暮らしていたわけだけどな」

薫は力なく嘲笑した。
だが薫も千鶴のことを愛していて、それなのに再会した時の千鶴が自分を忘れて偽物の父親のことばかり気にたてていたのだから、愛情が半分憎しみへと変わってしまった。

「…でも、元はお前たち人間のせいで俺達兄妹はこんな風になったんだ。お前が例え俺の立場になっていても、同じように人間を恨んでいるだろう。さて、もう言い残したことはないか?そろそろお前にとどめを刺したいんだけど。妹が待っているからね」

薫は刀を構えて沖田に近づく。
沖田はここまで来るのにずいぶん体力を消耗している。おまけに血を吸っていなくて、今羅刹となって戦っている。
勝敗は決まったも同然と思っていた。

「――でもきっと僕も、君と同じ立場だったら千鶴を殺していたかもしれないね」

「!」

薫の足がその場で止まった。
怪訝そうな顔で沖田を見やる。

「結局は僕も君もそう、千鶴のたった一つの愛が欲しかったんだろうね。そしてそれを得る方法を知らない…だから君は千鶴を殺してしまったんだ。そうだろう」

「なっ、何を言ってる…!違う!!」

正確にいえば、沖田の言うことは図星だった。
だが薫は意地でもそれを肯定したくなかった。

沖田と同じにはなりたくない。
自分から千鶴を奪った奴と同じにはなりたくない。

ただそれだけの理由だった。

「立場が逆であろうとなかろうと、結局僕たちは千鶴からの愛を他人には譲れなかったんだ。そして千鶴を殺すことでそれを得ようとした。全く、笑っちゃうよね。そんなんじゃあ千鶴からは愛されないのに―――千鶴は幸せになるべき人だったのに」

沖田の目がカッと見開かれた。
そして沖田が一気に間合いを詰め、薫に駆け寄った。
動揺していた薫は構えていたはずの刀を下げいて、その胸はガラ空きだった。

そこへ、銀の刃が走った。








「ぐあぁっ…おき、た…!」


心臓にゆっくりと突き刺さるのは沖田の刀。
それは薫の背中を貫通し、血を滴らせていた。
その血を大雨が流していく。

「ぅっ…くそ…沖田ああぁぁ!!」

薫も最後の力を振り絞り沖田の脇腹に刀を埋めた。
心臓ほどではないが、大量の血を流せば致命傷となる。
沖田は元々、その刀を避けるつもりなどなかった。

「ぐっ…、くっ…!」

沖田も激痛から顔を歪ませる。
だがお互い刀を抜こうとはせず、またそれ以上攻撃をしようとはしない。

今ので勝負がついたことをお互いが悟ったからだ。

「薫…僕たちは似ていたんだよ…。歪んだ愛を持ち、そしてそれを押さえきれなかった…」

「………」

薫は何か言葉を発そうとしたが口からは大量の血液が流れ出ていた。
それを見た沖田の瞳が細くなる。

「歪んだ愛と知っていながら…その感情を殺せなかったんだ。それでも千鶴を…愛したいと…願ってしまったから」

少しずつ沖田の声が萎んでいった。

雨で濡れているのか、それとも泣いているのか。
薫には沖田の表情がとても哀しそうに見えた。

薫は力なく刀から手を離した。
それを感じ取った沖田も薫から刀を抜かずに手を離す。

沖田は片膝を立てて辛うじて体制を整えるが薫はその場に倒れた。
雨のせいでその血はとめどなく流れている。

「――行けよ、もう」

そう呟いた薫の言葉は雨音に消されてしまいそうなほど小さなものだった。

沖田は腹部に刺さった刀を慎重に抜くとそれを杖代わりに立ちあがり、ゆっくりとその場を後にした。
千鶴の元へ行くために。

沖田は振り返ることなく、まっすぐその道を歩いて行った。









「――歪んでないよ、お前は」



この言葉はきっと本人には届いていないのだろう。

目を瞑ると不思議と胸の痛みが和らいだ。
そうしたら心に少しゆとりができて、微笑んでいる千鶴が浮かんだ。

「薫」



笑いながら自分を呼ぶ千鶴の声が聞こえた気がして、その時だけは痛みを忘れて目を開けた。
もちろんそこには千鶴の姿なんてなかった。
幻聴だったんだろう。
だがそれでも満足だ。
これが欲しかったんだから。

(お前の笑った顔が見れたら幸せだなんて……俺が歪んでいなければ、お前と一緒に逝けたのかもな)

目が覚めたら千鶴が、幼いあの頃のように、笑いかけてくれたら良いのに……



END


彼の血と涙は大地へと沈んでき、
そして雨は止んでいった



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